2008年10月29日水曜日

吃音の種類と段階

吃音といってもそれぞれ人それぞれ症状と段階が違うそうな。

・連声型(連続型、連発)
たとえば「おはようございます」という文章の場合、発声が「お、お、おは、おはようございます」などと、ある言葉を連続して発生する状態。
・伸発
「おーーーはようございます」と、語頭の音が引き伸ばされる状態。
・無声型(無音型、難発)
「ぉ、……(無音)」となり、最初の言葉から後ろが続かない状態。

私や他の吃音仲間は全て、連声型、無声型の二つを患っているようです。
二個目の伸発というのはちょっと私は実際には見たこと無いのですが、外国の人の吃音者の映像を見ているとこの伸発という症状の人多いような気がします。

ちなみに「裸の大将」で知られる芦屋がんのすけさんが演じている山下清さんは連発と無声タイプですね。あの方は普段とてもしゃべりが綺麗でしたのに、とても上手に演じていたと思います。リアルでした。


そして、この吃音は以下の段階に分かれているとの事

第1段階 - 連発。本人にあまり吃音の自覚のない時期。
第2段階 - 連発・伸発。本人が吃音を気にし始める時期。次第に語頭の音を引き伸ばすようになる。
第3段階 - 難発。吃音を強く自覚するようになる時期。伸発の時間が長くなり、最初の語頭が出にくい難発になる。時に随伴運動が現われる。
第4段階 - 吃音のことが頭から離れず、どもりそうな言葉や場面をできるだけ避けたり、話すこと自体や人付き合いを避けたりする。

これは本当に忠実だと思います。
私やそのほかの吃音者にぴったりと当てはまりました。
私は最初に「どもり」が発症したのは、どもり症のおじいちゃんの真似をしたことがきっかけでした。
真似をはじめてすぐに親から「どもり」がうつってきているからやめなさい!といわれたのを覚えています。その頃は全く自覚がありませんでした。
次第にクラスメートが私の真似をしだし、ちょっと意識するようになって来ました。
私を真似していたクラスメートも次々にどもり症がうつっていっていたので「どもり」というものはどもりの人を真似することでかなりの発症しやすいようですね。
意識しだすようになると、第2段階のように語頭を伸ばすようになりました。何故かというと、まずどもりは早口が原因だ!と周りから諭されたのでゆっくり喋ろうと心がけたりしているうちに何となくそういう喋り方をすることによってどもりが回避されることも少なくなく
自然にそういう喋り方になっていったのかもしれません。
しかし、一時的に改善したかと思うとまた人前やとても大事な局面などでどもりの症状が現れるようになり、その頃になってくるともう自分がどういった言葉でどもるのか、何から始まる言葉がどもりやすいのかという分析をしだすようになってきます。
そうなってくると、意識が強くなっていきその対象の言葉を使うことに恐怖を覚えるようになっていき、喋ることに対してプレッシャーが非常に大きくなっていきました。

その頃から第3段階の難発という症状が現れだしました。
最初、この頭の中でこう喋ろう!っと思っているのに全く声がでない「難発」を体験したときはとても困惑しました。何かとんでもない病気にかかってしまったのではないか!と心配になり、家族に色々相談しましたが、周りの人はそんな声が出なくなるという奇怪な病気の話を真摯に聞いてくれませんでした。
一般的に声が出ない病気というと失語症の様に、ずっと声が出ない!という様なイメージを持っておられるようで、一瞬声が出なくなることがあるんだよ!という子供の訴えなんて、戯言か言い訳にしか思われていなかったのでしょう。

この「難発」という恐ろしい症状を経験してからというもの「どもり」に対しての警戒心は日増しに意識を侵食していきました。
「難発」というのは一瞬出なくなり、少しの時間まってれば出るんじゃnないか?と思われるかもしれませんが、出なくなった言葉はもうその場面では最後まで出ないことが多いのです。
例を出すなら、人前で「はじめまして、○○です。よろしくお願いします」というセリフをいうとして、よろしくの「よ」を発生する時に「難発」が発症するとします。
そうなると「はじめまして、○○です。・・・・・・・・・」「よ」の口の形を作ったまま、大勢の前で窒息するまで口をぱくぱくさせるだけの状態に陥るのです。
はたから見ても、とても正常な人と思われないのではないでしょうか。
そういったつらい経験を重ねていくたびに、社会との接触・他人との会話を避けるようになっていきます。
私は、生まれもっての楽観主義で、理解のある友人に恵まれた事もあり幸運にも引きこもりなどといったことにはいたらなかったのですが、私が知っているどもりの友人のほぼ全員がそのまま引きこもりになってしまったようです。

ですので、今ニートや引きこもりの社会問題が取りざたされそのほとんどが本人が怠惰なせいである!とか甘えであるなんて言っている人がいて
よく、テレビで親の前で子供に「甘えるな!」と罵倒するカウンセラーの映像を見たりするのですが、本当にふざけるな!と思います。
社会に出たくて、人と話したくても、偏見の目で見られる事が怖くて怖くて誰にもわかってもらえず一人で悩んでいる人間の気持ちが分かってるのか…
接客業や事務の仕事をしている「どもり」持ちの人が電話が鳴らない事を、客が余計に話しかけてこない事をどれだけ祈っているのかわかっているのかを…

電話に携わる仕事をしているどもりの人が一番不憫かもしれません。
電話越しで客を目の前にして無言電話しか出来ない状況に追い込まれるんですよ。地獄ですよ。

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